2005年 夏休みボランティア・車いすダンス体験講座 |
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事 業 報 告 書 |
| 1.企画の背景 |
| 2.事業の概要と実施に向けての動き |
| 3.実施した内容 |
| 4.感想 |
| 5.課題と成果(事業の成果) |
| 6.収支報告 |
| 7.事業実施スタッフ・ご協力下さった団体 |
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| ※この事業は(福)大阪府社会福祉協議会 大阪府ボランティア・市民活動センター |
| ボランティアファンド助成を受けて実施致しました。 |
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ジェネシスオブエンターテイメント |
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| 平成16年度後半より、スタッフを中心に活動の使命と意義の再確認を行い、車いすダンス教室運営会 |
| 議のメンバーを中心に会議を重ねた結果、以下の課題への仮説を立て本企画を立案した。 |
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| @出番を創る |
| ボランティア講座などの講師派遣は、人件費の保障や平日実施など課題が多く、専従スタッフが中心になって実施して |
| 来た為、会のメンバー全体としては講師として参加できる機会が少なく、結果全体として層の厚さと機会が失われていた。 |
| そこで機会を創り『みんなの出番を創る』をキーワードにして会のメンバー全員に打診してそれぞれの希望に沿った形で |
| 運営体制を創った。 |
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| A今まで感じてきた課題と繋げる |
| 短時間で大人数の講演会など、時間と期間的に制約の多い講師派遣などで、自分達が伝えて来たことが、 |
| 受講者・参加者(学校などでは生徒)にとっては、一方的な時間ではなかっただろうか? |
| (年間数回、数時間など短時間、短期の制約の中で、講師として行く自分達・受講者共に消化不良がある)との仮説を立て、 |
| 『自分達がやりたいことと、もし受講者ならしてほしいこと、いまの講師派遣分野で今後必要と思われること』を中心に想像し、 |
| 参加者が主体的に参加でき、体験を経験へと繋げられる時間を提案することにした。 |
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| B活動拠点を中心にボランティアマインドを育てたい(中心課題) |
| 本年で活動開始9年目を迎える当会は、現在まで大阪府下を中心に活動を行って来たが、活動拠点である大阪市中央区に |
| おいては、車いすダンス教室を中心に年間最低約80日もの活動を行いながらも、まったくと言っていいほど啓発・啓蒙を |
| 行っていなかった。 |
| そこで今回、地元に焦点を当て中央区の学生を中心に参加を募ることによって、地域のボランティア活動の発展へと |
| 繋げたいと考えた。 |
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| 【目的】 |
| ジェネシスの活動拠点としている大阪府社会福祉協議会、大阪市谷町地区の地場に目を向けた、 |
| 中学生対象の車いすダンス集中体験講座を実施し、地域内での啓蒙活動および、次世代リーダーの |
| 発掘を行う。また同時に、参加した子供達が当会だけではなく、今後大阪府ボランティア・市民活動 |
| センターを介して、講座終了後もボランティア活動により積極的に参加できる情報の提供と、意識の |
| 深化を図ることのできる流れを作ることで、ボランティア活動が個人と地域への拡がりを持てる為の |
| きっかけを創ること。 |
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| 【日時】 |
| 平成17年7月31日(日)10:00〜16:00 |
| 平成17年8月 1日(月)12:00〜16:00の2日間 |
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| 【場所】 |
| (福)大阪府社会福祉協議会 大阪市中央区中寺1−1−54 大阪社会福祉指導センター内 |
| ■1日目:7月31日(日) 4階研修室@ |
| ■2日目:8月 1日(月) 5階多目的ホール |
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| 【対象】 |
| 中・高校生約30名 |
| 谷町地区(中央区)在住の中学生を中心に募集(募集は府下・市内全域に行う) |
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| 【内容】 |
| 車いす体験・車いすダンス体験と創作発表を通じてボランティア活動への興味、自分の生活 |
| (友達や家族、地域社会)との繋がりを見つける時間を創る。 |
| ■車いすを使ったゲーム体験 |
| ■谷町(中央区)を中心とした車いす体験 |
| ■車いすを使って踊ってみよう〜ダンスを創って発表 |
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| 【組織体制】 |
| 当会の学生を中心とした実行委員会を組織 |
| (中学生、高校生の10代を中心とした、障害のある人とない人で組織) |
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| 【実施体制】 |
| 実施にあたっては以下のチームを組織する |
| @プログラムチーム(運営会議の進行から、当日までの構成内容と全体の流れ、報告書作成) |
| Aファシリテートチーム(詳細構成作成、当日の体験・ダンス指導チーム) |
| Bコーディネートチーム(実施に必要なすべての関係機関との調整を行う) |
| C広報(社協・行政教育機関・新聞社) |
| D記録(ビデオ・写真) |
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| ■1日目 |
| 7月31日(日) 10:00〜16:00 ?雨のち晴れ |
| ・スタッフ:16名 ・受講者:7名(保護者他5名含め 計12名) |
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| ⇒第一声は、障害のある中学生メンバーの司会からはじまった、はじめてのメンバー主体の自主講座。 |
| 話す当人よりも、記録係の方が緊張ぎみ?…『実は前日眠れませんでした…』 |
| 活動案内と今日の内容の案内から、その後ビデオで活動を紹介。 |
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| ⇒アイスブレイクから参加者同士のコミュニケーションダンス〜自己紹介を行った。※雨天の為ダンス体験を実施 |
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| ⇒各グループを中心に谷町界隈(空堀商店街)を車いす体験〜感じたことを発表。 |
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| ⇒普段ボランティア活動を受ける対象になる?障害のあるメンバー2人から、『私が思うボランティア活動…』という |
| テーマでのお話の後、今日の時間を振返っての発表。 |
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受講者の感想から(抜粋) |
<7月31日> |
| ・車いすの人でもボランティアをされる側だけじゃないんだなぁ。 |
| ・外に出て体験できなかったことが残念だった。 |
| ・車いすで動くことは大変難しいことだと気づいた。 |
| ・バリアフリーな場所がもっと増えると嬉しい。 |
| ・私にとって、友だちが必要だとわかった。 |
| ・自分と似たような障害の人が自分と同じようなことを経験していることにおどろいた。 |
| ・車いすに乗れてよかった。 |
| ・坂道が大変だった。 |
| ・私が健康で幸せでいることに気づいた。 |
| ・私にとって、友だちが必要だとわかった。 |
| ・ダンスを踊ると嬉しいことに気づいた。 |
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<7月31日 車いす体験> |
| ・ほとんど店に入れない、嫌な気持ちになった。 |
| ・街に出てみて、知らない人によく声を掛けられた。 |
| ・ビン缶など、とろうとしても落ちると思いとれない。こわい。 |
| ・道路の凸凹はかなり身体に振動があり不快感がある。 |
| ・色々な、車いすがあり特徴を活かし使用したらいいと思う。 |
| ・店内が狭かったり、品物に手が届かなかったことが残念だった。 |
| ・ひとりでは不安、仲間がいると安心。助けてもらえると思うから。 |
| ・自分で車いすをこぐのはしんどかった。疲れた。皆で行って楽しかった。 |
| ・車いすに乗るには、かなり手・腕の力がいる。慣れるまで筋肉痛が続きそう。 |
| ・車いす体験で安全に通行できるか不安だった。 |
| ・ひとりではいけない場所とか、仲間が助けてくれるから行ける場所があった。 |
| ・普段よりゆっくり歩いたので、街中がじっくり見れた。新鮮な気持ちになった。 |
| ・ドアの開閉がこわい。 |
| ・外に道は意外と平らな道がすくない。 |
| ・坂道は登りも下りもこわい。 |
| ・スーパーが楽しかった。 |
| ・他人の目が気になった。 |
| ・目線が低い。 |
| ・皆で行って楽しかった。 |
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<8月1日> |
| ・自分の気持ちを表現することを学んだ。 |
| ・自分より年下の子が、手を普通に繋いでくれたことが嬉しかった。 |
| ・人との関わりの大事さを学んだ。 |
| ・身体が不自由でもいっぱいいっぱい動けるということに気づいた。 |
| ・すごく表現の仕方がわかりやすかった。(教え方が判りやすかったので、ちゃんと自分を表現できた) |
| ・初めの方に恥ずかしがってしまったのが残念だった。 |
| ・相手の気持ちを深くわかってあげることが必要だとわかった。 |
| ・初めて参加してとても楽しく過せたなぁと思った。また参加したい。 |
| ・もっと自分も相手の気持ちをわかってあげれる人間になりたいデス! |
| ・仲の良い友だちと同じ友だちと同じチームじゃなかったことが残念だった。 |
| ・色々車いすダンスで色々な人と関ることができて楽しい。皆でダンスをして嬉しかった。 |
| ・ダンスが上手く踊れなくて残念だった。でも車いすダンスの楽しさを学んだ。 |
| ・チームワークが必要だと判った。 |
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<車いすダンス体験に一緒に参加したスタッフの感想> |
| ・やっぱりペアで踊るより、5人とか6人とかで踊ったりした方が楽しい。表現できる幅が広がる。 |
| ・踊れる時間が短くなってしまったことが残念だった。 |
| ・参加予定だった友だちが来れなくなって残念だった。 |
| ・みんな車いすに楽しそうに乗っていたことに驚いた。 |
| ・人それぞれの考え方に気づいた。 |
| ・こういう時間をもっと創ることが必要。 |
| ・一人ひとり同じ感情を表現していても、方法がそれぞれ違う。 |
| ・参加者が初対面同士でも楽しんでやってくれていたことに驚いた。 |
| ・気持ちを動作で表現することを学んだ。 |
| ・みんなでひとつのものを創っていくことの楽しさに気づいた。 |
| ・あまり自分の言葉を出せなかったことが残念だった。 |
| ・一人ひとり個性は違うけど、でもそれぞれの個性ってすごく大切。 |
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スタッフによる振返り会議 |
| 講座終了後、アンケートを行い2回に渡って今回の講座の課題と成果を話し合った。 |
| 11項目からなるアンケートから、3項目に絞って振返り会議を行った。 |
Q1 |
担当チ−ムでの準備段階・協働・実施当日など実践の中での困難はありましたか |
Q2 |
その課題に対してあなたが意識して(気をつけて)働き掛けたことはありますか?
(あればそれはどんなことですか) |
Q3 |
実施に向けてあなたを支えた言葉はありましたか?それはどういう場面でありましたか? |
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| ⇒各グループに分かれてアンケートのまとめ作業を開始。上記が完成した項目別のまとめ。 |
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| ⇒グループごとにまとめた内容を説明。課題をみんなで共有し今後の展開を考えた。 |
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| ⇒発表終了後、今回の自主講座のキーワードになった課題を考え、『良いコミュニケーションとは』という |
| 題名が決まり全員でマッピング記入を行い来年に活かすこととした。 |
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| ⇒一連の振返りを元にして、自分発からの具体的な行動を各自発表し振返り会議を終了した。 |
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| いささか辛口の報告書になってしまったが、本事業の成果を書くにあたり自分の書く力をこれほど後悔したことはない。 |
| 受講者とスタッフの感想を読んで頂ければ、若い学生メンバー達が間違えながらも真摯にこの事業へ向き合う中で、 |
| 触発されながら学び合えた時間が想像して頂けることと思う。 |
| 『みんなの出番を創る』をキーワードに自分達の活動と拠点地域を考え、同世代に伝える為には…。 |
| 本事業は当会の車いすダンス教室に参加している若年層の障害のある人・ない人、みんなが場を創りだす側になる |
| ことで、単に車いすダンスを学ぶだけではなく、ダンス教室から外に発信する『私たちから社会にできること』を |
| 意識できたとても貴重な機会となった。 |
| 以下に簡潔に成果を記載するが、特にふたつだけ記載しておきたい重要な成果があった。 |
| それは、実施に向けてチーム分けを行い、課題が山積してきた開催日数週間前から20代のメンバーが意識せずに |
| 『コーディーネーター』という役割を担い課題を解決へと向かわせたことである。 |
| 普段そのメンバーは口数が多い方ではなく、車いすダンス教室に来るにも作業所やヘルパーとの調整で気持ちはあっても、 |
| 毎回教室や会議に参加できる環境にはなかった。 |
| だが、そのメンバーは課題の相談を受けたことから、その原因を自分で考え、相談をした側のメンバーに継続した助言を |
| 続け、すぐに自分ができることを行動に移し、更にはその課題を解決することが可能であろう人に向けて協力を求めていく |
| ということを、自分の判断で働きかけていたことである。 |
| このことは、ボランティア活動における要諦とも思える『自分に何が求められているのか』を考える上で、無責任と思う |
| 方もいるかも知れないが、課題が山積した中での実施が生み出した成果と感じている。 |
| 初めての自主講座で実施組織としてはとても不安定な状態の中、時に対立があり、一緒に笑い、落ち込んだり…そんな |
| ありきたりな人間らしさに触れ合えたこと。それを社会的立場や状況の違う人たち(障害のある人とない人)みんなで一緒に |
| 取り組んだこと自体が学び合う状況を創り、互いに触発されながら、普段その人の感性に任せていた部分をも、行動から |
| 意識することへと深化を図らせたのだと思っている。 |
| その実例として講座終了後に『もうひとつ夏のボランティア講座が行われた』…。 |
| これは当会中学生メンバーの友人達が、日程の勘違いから8月1日の講座に参加することが出来なかったことから起きた。 |
| 講座終了後、講座に友人を誘った側である当会中学生メンバーの悩む姿に、保護者が書き込んだメールに反応し返事を |
| 書いた1名のメンバーがいた。そこから始まり数名ではあるが、自発的に集まり2名を対象に講座を実施することへと繋がった。 |
| 数時間ではあったがその後、受講者の内1名の高校生が当会の通常活動である車いすダンス教室に現在参加しはじめている。 |
| この様に今回の講座を実施した成果は、実施当日のみならず実施メンバー達や受講者の日常へと拡がりを見せはじめている。 |
| 若い実施メンバー達が講座を開催する過程において、共通の目標から個々が抱える悩みを考え、個々の悩みからみんなに |
| 共通する課題を見つけ協働していく。 |
| この様なことが、今回の講座を実施できたことによって、自発的に日常的な行動へと繋がりが得られたことが最大の成果と |
| 考えている。 |
| 最後に今回説明不足が多い中、本事業の実現に向けて助成を実施してくれた(福)大阪府社会福祉協議会と大学生ボラン |
| ティア募集にあたり、多忙の中最後まで広報支援を下さった大阪教育大学教育学部教養学科助教授 新崎国広氏に感謝を |
| 申し上げたい。 |
| その他、今回の事業の成果は |
| ・若い世代達が、事業の目的や市民活動の意義を改めて考え深めることのできる機会ができたこと |
| ・学生メンバーが、車いすダンスを行う障害のある仲間の社会的な課題へ関心を持ちはじめたこと |
| ・講座を実施したことでメンバー達が活動の享受者から、社会に向けての提供者(提案者)と変われたこと |
| ・実施メンバー間で社会課題や人間関係についての学習意欲が自発的に高まったこと |
| ・車いすダンスという文化活動から子供達に向けて実施できるプログラムが出来上がったこと |
| ・教育機関より今回のプログラムへの興味、実施に向けての問い合わせが得られたこと |
| ・障害のある・ないに関らずメンバー達が自分の存在が人と社会の役に立っていることを掴めたこと |
| ・中学生の受講者が自分の生活の中でも、講座で感じたことをいかしたいと感じてくれたこと |
| ・障害のある受講者が自分以外の障害のある大人と出会うことによって、自身の将来像に繋がりが見えた事 |
| ・障害の軽重度に関らず、全員にそれぞれの出番ができて、みんなの気持ちを寄せ合える時間ができたこと |
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